海外投資家による対日投資の影響と示唆
海外投資家の短期的な投資が株式市場に影響
2013年02月08日
サマリー
◆2012年の対日証券投資の内、株式に関しては4月~9月まで継続的に流出超となるも、10月以降、短期間且つ急速に流入超過額が増加し、2012年トータルでは流入超となった。2012年の対日直接投資は2年振りに流入超となった。新規の投資を指す「株主資本」も流入超となったが、2007~2010年に比べて欧米からの投資が減少していることから、低水準のまま推移している。
◆海外投資家の売買と株価は長期的なトレンドとして正の相関関係がある。海外投資家は他の投資主体よりも投資期間が短い傾向があり、その時々のイベントに左右され、投資資金が流出入しやすくなる可能性もあろう。また、海外投資家は先物売買でも大きなシェアを占めており、先物売買を通じて現物相場にも影響を与えている。
◆短期投資家の存在は流動性の提供という点で、日本の株式市場において重要な役割を果たしているものの、株式市場に極端に影響しないよう、海外投資家の中でも幅広い地域(欧米に加え、アジア)や、長期投資を行いうる投資主体(年金、政府系ファンド)からの証券投資の増加が望まれる。
◆また、長期的なリスクマネーの供給という観点から、対日直接投資の増加も望まれよう。特に、相対的に少ないアジアから直接投資の増加が期待される。今後も対日直接投資を促進する政策の継続が望まれよう。
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