11月消費統計

所得環境の悪化に比べれば堅調な推移が続く

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2013年01月04日

  • 齋藤 勉

サマリー

◆11月の個人消費は横ばい圏での推移:11月の家計調査によると、実質消費支出は前年比+0.2%と3ヶ月ぶりのプラスとなった。季節調整値は前月比▲0.1%と2ヶ月ぶりの減少、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ても、同▲0.6%と2ヶ月ぶりの減少となった。例年と比べて気温が低かったため、冬物衣料品を中心とする季節商材に対する支出が増加した。また、エコカー補助金の終了に伴って減少傾向にあった、「自動車購入費」を中心とする「交通・通信」向け消費金額も増加に転じている。一方で、「テレビ」や「ビデオデッキ」など教養娯楽耐久財消費は引き続き弱含んでおり、全体を下押ししたことから、総じてみれば消費金額は横ばいでの推移となった。供給側の統計である商業販売統計を見ても、11月の小売金額は横ばいでの推移となっており、11月の個人消費は、所得環境の悪化に比べれば堅調に推移したと言えよう。


◆先行きは低調な推移を見込む:企業業績の下振れにより、冬季の賞与は前年と比べて減少したとみられる。さらに、足下では製造業などで所定外労働時間の削減が行われており、所定外賃金の減少を通じて、所得環境は弱含みが続く。消費者マインドも弱含み傾向が見られており、当面の間個人消費は低調な推移が続くだろう。

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