欧州経済見通し 仏財政不安、長期化の覚悟

国民世論の二極化で、決められない政治が続くリスクが高まる

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2026年10月22日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆財政・政治不安を背景にフランスの長期金利が急上昇している。フランス財政における当面の課題である2027年予算に関して、ルコルニュ政権は財政赤字の縮小を目指す予算案を提出した。しかし、野党の反対により予算協議は難航する見込みであり、成立するとしても、赤字削減幅は当初案を下回る公算が大きい。

◆2027年予算をめぐる不透明感に加え、フランス財政・政治の不安材料となっているのが、2027年4、5月に予定される大統領選挙である。現在、選挙で先行する極右・国民連合のルペン氏は大統領選挙に向け財政健全化を含む財政計画を公表したが、その実現性は不確かであり、財政悪化懸念が払しょくされたとは言い難い。

◆また、大統領選挙においては、緊縮財政に反対する極左・不服従のフランスのメランション氏の支持率が高まっている。メランション氏が次期大統領になる可能性は現時点では低いとみられるが、国民の政治的な二極化が進む中、大統領選挙後の解散総選挙では議会の分断が一層深刻化するリスクがある。フランス政治の機能不全、財政問題が長期に続く可能性を覚悟しておく必要があるだろう。

◆ラガルドECB総裁は、現時点でフランスの長期金利の上昇に対して、市場分断抑制策であるTPI(Transmission Protection Instrument)を適用する意向がないことを明らかにしている。もっとも、投機的な動きによって金利がさらに極端に上昇すれば、ECBがTPIの発動を検討することも考え得る。ECBのバックストップとしての役割によって、フランスの財政問題が債務危機に発展する可能性は低い。

◆財政懸念が金利上昇につながり得る状況は英国も同様である。金利上昇による利払いの増加や防衛費の増加によって、英国の財政は厳しさを増しており、10月28日に公表される、バーナム首相就任後初の秋季予算では、財政に負担がかかる大規模な政策は見送られる公算が大きい。

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