尹大統領の罷免決定、不動産問題が選挙のカギに

賃借人保護の不動産政策を支持する「共に民主党」の李在明氏が、大統領選挙で一歩リードか

RSS

2025年04月24日

サマリー

◆2025年4月4日、韓国憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追を認容し、罷免を決定した。世論調査によれば、韓国国民の8割以上が憲法裁判所の決定を支持しており、6月3日に行われる大統領選挙での政権交代の可能性が注目されている。

◆尹大統領が弾劾に至ったそもそもの経緯を振り返ると、2024年4月の国会議員選挙で与党「国民の力」が大敗し、尹大統領は厳しい政権運営を迫られたことが挙げられる。こうした中で、同年12月3日、尹大統領は野党「共に民主党」への対抗措置として非常戒厳による局面打開を図った。しかし、尹大統領の非常戒厳は失敗に終わり、保守勢力は朴槿恵(パク・クネ)元大統領から2代連続で、大統領が罷免されることとなった。

◆与党が国会議員選挙で敗退した大きな背景として、不動産市場の不振といわゆる「チョンセ問題」が挙げられる。こうした不動産問題は現在まで継続しており、6月の大統領選挙でも問題解消策が世論の趨勢を決める要因となろう。

◆与野党の不動産政策を比較すると、国民の力がオーナー優遇の減税や税特例で負担軽減を図っているのに対し、共に民主党は賃借人保護と基本住宅供給に重点を置いている。

◆最新の世論調査の結果からは、共に民主党は不動産関連政策において国民の支持を得ていることが示唆される。また、大統領候補者の中では共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏の支持率が高い一方、国民の力の候補者筆頭である金文洙(キム・ムンス)氏は出遅れている。韓国における政権交代の可能性は十分にあるだろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

同じカテゴリの最新レポート