新興国マンスリー(2018年5月)先に崩れるのは先進国か、新興国か

~顕在化するドル金利上昇のコスト~

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2018年05月08日

  • 児玉 卓
  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 金融調査部 金融調査部長 山崎 加津子
  • 永井 寛之
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆IMFは2018年、2019年の世界経済の堅調持続を見込む中、2019年にかけて先進国が減速、新興国は加速すると予想している。世界景気拡大の先導役が先進国であったことからすれば、ピークアウトも先進国が先というのは自然なように思えるが、時に新興国は先進国経済の強さゆえのダメージを被ることがある。差し当たりはドル金利上昇がもたらす新興国通貨の下落圧力、強いられた金融引き締めとその広がりに注意が必要である。更に、ドル金利の上昇が止まれば、新興国は米国景気後退に伴うリスク・オフを心配しなくてはならなくなる。

◆新興国の成長加速が実現するには、米国金利の低下(低位安定)と景気拡大の組み合わせ、言い換えれば、適温経済の完全復活が必要である。だが、米国における労働市場のひっ迫がより顕著となる中で、それが可能であるとは思われない。2017年以降の「落ちこぼれの少ない」世界経済の拡大が2019年にかけて崩れるとすれば、ダウンサイドリスクが勝るのは新興国であろう。

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