サマリー
◆英国をはじめとした欧州勢のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への出資表明の意義は大きい。英独仏伊の名目GDP合計は中国のそれを上回っており、当初中国が過半を握ると見られていた出資比率、議決権シェアが大きく変わる可能性が出てきた。その結果、米国や日本が問題視するAIIBのガバナンスや融資政策(人権問題や環境保全等)も自ずと変わる可能性がある。こうした内からの変革は、さしあたっての米日のスタンスである外からの牽制よりもよほど有効であろう。
◆欧州勢を含む出資国の増加によって、中国のAIIBに対する支配権に一定の歯止めがかかり、その融資にチェックアンドバランス機能が働くようになるに連れ、被投資国であるアジア諸国の利益は増進する。インフラ投資総額が増えるとともに、その質が改善する可能性が高まるためである。それは、人口構成の成熟化によって高度成長期を終えたとみられる中国から、より若いアジア後発国への製造業集積の、よりスムーズな移転に貢献することにもなろう。
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