サマリー
◆中国では、「5年に1度の党大会が開催される年は、成長率が高くなる」と言われる。確かにかつてはそうであったが、前回の第18回党大会が開催された2012年にはこうした動きは観察されず、今回は、2017年1月~6月の実質GDP成長率は前年同期比6.9%(以下、変化率は断りのない限り、前年比、前年同期比、前年同月比)と、2016年の6.7%からは0.2%ポイントの加速にとどまっている。
◆党大会が開催される年は無理をして高めの成長率を追求するために、翌年(今回で言えば2018年)の成長率はその反動で大きく減速する、という話もよく聞く。しかし、1998年の景気の大幅減速はアジア通貨危機、2008年はリーマン・ショックを契機とする世界的な金融危機の影響が主因であり、前年の党大会の終了が直接的な原因ではない。
◆政治サイクル的な景気の加速や減速は、かつてのイメージに引きずられた感があり、2012年の第18回党大会前後以降は、巷間で意識されているほどのものではない。実際、党大会を目前に控えた足元でも固定資産投資の加速は観測されず、むしろ減速が続いている。相対的に堅調なのは消費であり、これは従前から政治サイクルとはあまり関係がない。10月18日に開幕する予定の党大会の終了が、中国の景気を大きく減速させるきっかけとなることは考え難い。
◆2017年8月の主要経済統計を見ると、鉱工業生産は7月の6.4%増⇒6.0%増、以下同様に小売売上(名目)は10.4%増⇒10.1%増、輸出は6.8%増⇒5.5%増、固定資産投資は1月~7月の8.3%増⇒1月~8月は7.8%増など、軒並み伸び率が縮小した。こうした傾向は、7月以降続いており、中国経済は1月~6月の実質GDP成長率6.9%をピークに、緩やかに減速している可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:飲食業景気指数が過去最低に
内巻(破滅的な価格競争)の悪影響は中小型店に集中
2026年04月24日
-
中国:2026年は政府成長率目標の下限か
ただし、中東情勢緊迫長期化で下振れリスク高まる
2026年04月21日
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
最新のレポート・コラム
-
非農業部門雇用者数は前月差+11.5万人
2026年4月米雇用統計:強弱まちまちもFRBの様子見には十分な結果
2026年05月11日
-
消費データブック(2026/5/8号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年05月08日
-
四半期開示義務廃止を提案:米国SEC
大統領の要請に応え規則改正案を提案。四半期開示継続も可能。
2026年05月08日
-
エンゲージメントは促進か抑制か? : 日米政策の分化
大量保有報告制度とエンゲージメントに関する政策は日米で乖離へ
2026年05月07日
-
特別委員会に関する機関投資家の議決権行使基準は変わるか
2026年05月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

