投資信託への非上場株式の組入れ

流動性リスク管理と非上場株式の評価に係る米国の先行事例

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サマリー

◆スタートアップ等への成長資金供給策の一環として、投資信託への非上場株式の組入れに係る枠組みを整備する投資信託協会の自主規制規則等の一部改正が2024年2月に実施された。

◆投信への非上場株式の組入れの普及に当たって、実務の蓄積が必要とみられる①流動性リスク管理、②非上場株式の評価の2つの観点から、非上場株式の組入れで先行する米国ミューチュアル・ファンド(MF)を取り巻く規制や実務の動向等を分析する。

◆非上場株式に投資するMFの組入れ比率の中央値は0.5%であり、ほとんどのファンドでは流動性リスクが懸念されるほど組入れ比率は高くない状況である。また、投資する優先株式の設計を通じて流動性などのリスク管理を行っていることが推察される。

◆非上場株式の評価について、米国証券取引委員会(SEC)は、2020年に評価実務の枠組みを規定する規則を採択している。もっとも、MFによる非上場株式の評価状況をみると、見直し頻度が低い、同じ企業が発行する株式でもMF間で評価が分かれることも少なくない、上場する類似企業の株価の動きに評価の見直しが遅行する傾向にある、といった課題も指摘されている。

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