2024年01月17日
サマリー
◆1月15日、東京証券取引所は「『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』に関する開示企業一覧表の公表について」を公表した。1,656社が上場するプライム市場では660社(構成比40%)、1,619社のスタンダード市場では191社(同12%)が、2023年12月末までに開示を行っている。PBRの水準別では1倍を境に差が表れており、開示した企業数の比率は、2市場の合算でPBR1倍未満が30%とPBR1倍以上の21%を上回っている。
◆当該情報の開示企業を市場がどのように評価しているのかを確認するため、「適時開示情報閲覧サービス」の利用企業の株価に注目した。開示企業851社のうち、108社が該当するが、総じて好感されているといえる。開示の翌営業日の相対株価(対TOPIX)は、108社のうちの約7割にあたる75社が上昇している。また、14%相当の企業がTOPIXを10%超アウトパフォームしており、開示から20営業日には25%の企業がこれに該当している。市場からの高い期待が表れている。
◆相対株価が大きく上昇した企業の特徴に、「PBR1倍未満の企業での業績改善や株主還元強化の確度の高まり」がある。通期業績や配当の上方修正、配当性向や総還元性向の数値目標の新設、引き上げや追加等、具体的な数値を伴ってROEの改善や株主還元の強化につながる説明がある企業が多い。
◆今後の充実が期待されるのが「成長戦略」である。これまでの開示での成長戦略では、既に掲げている中期経営計画の目標達成に関する記載が多いものの、資本コストや資本収益性との関連性が見えにくいものが多い。それぞれの戦略が資本コストや資本収益性にどう影響し、両者の差がどう変化すると予想するか等、経営層の考えを開示資料に含めると、投資家とのコミュニケーションが一層円滑になるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
少数株主保護に関する上場制度の改正
少数株主の賛否割合等の開示義務化と独立性基準の見直し
2026年03月04日
-
テキスト分析が映し出す金融当局の楽観視
金融当局ネガティブ指数で、金融システムへの警戒感の変化を読む
2026年02月26日
-
大和のクリプトナビ No.7 株式のトークン化に関する米国周辺の動向
様々な主体がトークン化に取り組むが、その背景は様々
2026年02月03日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

