2022年06月24日
サマリー
◆世界的にインフレ圧力が高まる中、国内でも国際商品価格の高騰や円安進行に伴うコストプッシュ型の「悪いインフレ」が、国民生活にマイナスの影響を及ぼしている。とりわけ国民の暮らしに欠かせない食料とエネルギーの価格高騰の影響が懸念される。本稿では、家計の暮らし向きという観点から、世帯属性別に見た「悪いインフレ」の影響度を定量的に分析する。
◆2022年春以降、食料・エネルギー価格の上昇率が2000年代後半の資源バブルや2014年4月の消費増税の時期を上回る水準となり、国民の暮らしに対して強い逆風となっている。世帯属性別には、低所得世帯と年金所得世帯が厳しい状況に直面しているとみられる。消費者マインドの「暮らし向き」の水準は、経済活動の正常化という実体経済面の追い風が吹いている中でも低迷している。
◆インフレと国民生活を巡る議論に関して、日本銀行の黒田総裁が「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と述べ、大きな波紋を呼んだ。ただ、高インフレ下の金融・経済政策運営を検討する上では、「値上げ許容度」と「暮らし向き」の2軸で評価することが重要となる。仮に、家計の値上げ許容度が高まっていても、暮らし向きが悪化するような「悪いインフレ」の場合、持続的な物価上昇と経済再生の実現は難しい。
◆今年の秋以降も物価上昇が続くことになれば、単身高齢者の懐にとって厳しい冬になる可能性が高い。政府の各種物価高騰対策では、こうした事態を十分想定した上で、必要に応じて来年以降も切れ目なく支援できるようにしておくことが望ましい。また、今回の価格高騰を受けて、老後不安の問題が再燃する可能性がある。老後に向けた資産形成において、高インフレへの備えという視点も再認識しておきたい。
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