新型コロナ下で積み上がる家計の現預金と今後の行方

給付金の再支給により現預金で見る過剰貯蓄は一段と増加へ

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サマリー

◆2020年以降の新型コロナ危機は、日本全体で見た家計収支を短期的かつ大幅に改善させ、それに伴う家計の現預金の急増をもたらした。家計収支に関しては、特別定額給付金の支給と外食や旅行などの消費抑制を主因に、年金受給世帯に相当する「無職65歳以上」の黒字率がいったんプラスに転じた点が特筆される。

◆新型コロナ危機の影響で上振れした現預金を家計の過剰貯蓄として推計すると2021年6月末時点で約33兆円となる。特別定額給付金の最終的な給付額が12.67兆円(総務省)であり、現預金で見る家計の過剰貯蓄はその約2.6倍に達する。

◆今回の消費の落ち込みが過去の金融・経済危機に比べて大きかった分、ペントアップ・デマンドの規模も拡大する可能性がある。しかし、現預金の取り崩しを伴う形でのリベンジ消費は発現せず、現預金の増加基調は今後も長期的に継続すると見込む。

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