2021年11月08日
サマリー
◆2020年以降の新型コロナ危機は、日本全体で見た家計収支を短期的かつ大幅に改善させ、それに伴う家計の現預金の急増をもたらした。家計収支に関しては、特別定額給付金の支給と外食や旅行などの消費抑制を主因に、年金受給世帯に相当する「無職65歳以上」の黒字率がいったんプラスに転じた点が特筆される。
◆新型コロナ危機の影響で上振れした現預金を家計の過剰貯蓄として推計すると2021年6月末時点で約33兆円となる。特別定額給付金の最終的な給付額が12.67兆円(総務省)であり、現預金で見る家計の過剰貯蓄はその約2.6倍に達する。
◆今回の消費の落ち込みが過去の金融・経済危機に比べて大きかった分、ペントアップ・デマンドの規模も拡大する可能性がある。しかし、現預金の取り崩しを伴う形でのリベンジ消費は発現せず、現預金の増加基調は今後も長期的に継続すると見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新型コロナ下での家計金融資産の動向と2021年の展望
「つみたてNISA」の成功体験が家計の長期資産形成の追い風へ
2021年01月04日
-
スマホ証券が育む若年層の資産形成と今後の課題
インターネット証券取引開始から25年後の金融DXの新潮流
2021年08月10日
-
今後10年の家計金融資産分布と次世代金融ビジネスへの示唆
重要度が増す後期高齢者対応と団塊ジュニアへのアプローチ
2021年09月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
議決権行使助言業者規制再導入の検討開始
米国議会で議決権行使助言業者規制に関する公聴会が開催された
2025年05月13日
-
大和のクリプトナビ No.2 暗号資産価格のリターン・ボラティリティ・相関の特徴
過去のリターンは、将来のリターンに対する一定の予測力が存在
2025年04月15日
-
大和のクリプトナビ No.1 暗号資産価格の歴史的推移
需給の影響を受けやすく、足元では政策や機関投資家の動きも影響
2025年04月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日