四半期金融レポート 2020年9月号

コロナ禍の①間接金融、②家計、③中銀の貸出支援策を点検

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  • 坂口 純也
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼
  • 柿沼 英理子
  • 政策調査部 研究員 中村 文香
  • 遠山 卓人

サマリー

◆四半期金融レポートは、国内外の資金循環や金融面での構造的な変化の兆候を四半期ごとに点検することを目的としている。今回のレポートにおいては、以下の3つのテーマを取り上げる。

◆【企業金融・金融仲介:政策対応を受けて順調な資金供給】企業の資金繰りの動向を間接金融に着目して整理した。新型コロナの影響をうけて企業の資金繰りは悪化し、資金需要の強さはリーマン・ショック時を上回る。一方で、様々な政策対応を受けて、企業の業況が悪化するなかでも金融機関による貸出は大きく増加し、企業から見た金融機関の貸出態度の悪化は限定的であるなど資金は滞りなく供給されている。今後の企業金融の注目点としては、資金繰り対応に加えて財務基盤の悪化への対応が焦点となるとみられる。

◆【家計:コロナ禍における家計の資金資産選択行動を振り返る】コロナ禍における家計の資金動向を株式・株式投信・預金に焦点を当て確認した。特徴的だったこととしては①個人投資家が過度に悲観的になるのではなく、むしろ積極的にリターンを狙う姿勢であったこと、②特別定額給付金の影響により家計預金が急増したことである。また、BOXではこのところ注目度が高まっている個人向けコロナ債についての解説を行った。

◆【金融政策:コロナオペとTLTROⅢ・PELTROの貸出促進効果】日米欧をはじめとする中央銀行は、金融機関の貸出を促進する仕組みを作り、民間部門への流動性支援を行っている。日本銀行とECBのオペレーションの貸出促進効果を検証した上で、仮に経済の落込みが深刻化、長期化した場合のリスクの所在を検討する。

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