2020年09月11日
サマリー
◆四半期金融レポートは、国内外の資金循環や金融面での構造的な変化の兆候を四半期ごとに点検することを目的としている。今回のレポートにおいては、以下の3つのテーマを取り上げる。
◆【企業金融・金融仲介:政策対応を受けて順調な資金供給】企業の資金繰りの動向を間接金融に着目して整理した。新型コロナの影響をうけて企業の資金繰りは悪化し、資金需要の強さはリーマン・ショック時を上回る。一方で、様々な政策対応を受けて、企業の業況が悪化するなかでも金融機関による貸出は大きく増加し、企業から見た金融機関の貸出態度の悪化は限定的であるなど資金は滞りなく供給されている。今後の企業金融の注目点としては、資金繰り対応に加えて財務基盤の悪化への対応が焦点となるとみられる。
◆【家計:コロナ禍における家計の資金資産選択行動を振り返る】コロナ禍における家計の資金動向を株式・株式投信・預金に焦点を当て確認した。特徴的だったこととしては①個人投資家が過度に悲観的になるのではなく、むしろ積極的にリターンを狙う姿勢であったこと、②特別定額給付金の影響により家計預金が急増したことである。また、BOXではこのところ注目度が高まっている個人向けコロナ債についての解説を行った。
◆【金融政策:コロナオペとTLTROⅢ・PELTROの貸出促進効果】日米欧をはじめとする中央銀行は、金融機関の貸出を促進する仕組みを作り、民間部門への流動性支援を行っている。日本銀行とECBのオペレーションの貸出促進効果を検証した上で、仮に経済の落込みが深刻化、長期化した場合のリスクの所在を検討する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新型コロナ禍の企業の資金調達環境に見られる特徴と今後の展望
政策効果で覆い隠されたリスクは今後徐々に顕在化へ
2020年09月10日
-
改正金融機能強化法のコロナ特例措置がもたらす功罪
広がる入口と狭まる出口
2020年07月30日
-
拡大する「コロナオペ」の効果
金融危機を防ぐ日本銀行の取り組み
2020年07月07日
-
「新常態」への適応を目指す事業会社に対し高まる公的機関の資本性資金の供給
過去事例は政府系機関がリスクマネーを供給する重要性を示唆
2020年07月30日
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日