2020年07月07日
サマリー
◆日本銀行は「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション」等(コロナオペ)を通じて企業金融の円滑化を図った。銀行の貸出を促進するために、様々なインセンティブを与えたことにより、コロナオペを利用する金融機関が増え、日銀から金融機関への貸出残高が増加している。
◆日銀短観によれば、企業の資金繰りは悪化しているものの、リーマン・ショック時と比較すると、悪化の度合いは限定的である。金融機関による企業向け貸出が積極的に行われている様子も窺われ、コロナオペを通じた資金供給が奏功していることが示唆された。
◆金融市場と実体経済の間の負の連鎖は金融危機の一つの特徴であり、連鎖が始まると危機が深刻化することが過去の経験則からわかっている。景気の落ち込みが長期化すれば、金融機関のバランスシートが劣化し、金融危機に発展する可能性がある。コロナ後を見据え、企業はビジネスモデルの再考や、事業の再編を進める中で、注力事業に新たな設備投資を行う必要がある場合もあるだろう。政府は、流動性供給から財務基盤を強化する資本増強へと政策の軸足を移していくことが望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
成長と新陳代謝を促進するグロース市場改革
スタンダード市場への影響も注視
2025年05月12日
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日