拡大する「コロナオペ」の効果

金融危機を防ぐ日本銀行の取り組み

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サマリー

◆日本銀行は「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション」等(コロナオペ)を通じて企業金融の円滑化を図った。銀行の貸出を促進するために、様々なインセンティブを与えたことにより、コロナオペを利用する金融機関が増え、日銀から金融機関への貸出残高が増加している。

◆日銀短観によれば、企業の資金繰りは悪化しているものの、リーマン・ショック時と比較すると、悪化の度合いは限定的である。金融機関による企業向け貸出が積極的に行われている様子も窺われ、コロナオペを通じた資金供給が奏功していることが示唆された。

◆金融市場と実体経済の間の負の連鎖は金融危機の一つの特徴であり、連鎖が始まると危機が深刻化することが過去の経験則からわかっている。景気の落ち込みが長期化すれば、金融機関のバランスシートが劣化し、金融危機に発展する可能性がある。コロナ後を見据え、企業はビジネスモデルの再考や、事業の再編を進める中で、注力事業に新たな設備投資を行う必要がある場合もあるだろう。政府は、流動性供給から財務基盤を強化する資本増強へと政策の軸足を移していくことが望まれる。

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