2020年01月22日
サマリー
◆日本銀行は、インフレ目標政策を導入してから大胆な金融政策を相次いで打ち出してきたが、現在に至るまで2%のインフレ目標は達成できていない。本稿では、8年目入りした日本銀行のインフレ目標政策と実際のインフレ動向を概観しつつ、インフレ目標が達成できなかった背景や今後の課題などを考察する。
◆インフレ目標政策の達成時期の変遷等から指摘できる教訓として、インフレ目標政策において具体的な達成時期を明示せずに柔軟性を確保しておく方が良いこと、中央銀行が金融市場関係者と適切なコミュニケーションをとることの重要性、が挙げられる。
◆2%のインフレ目標を達成するためには、政府と日本銀行による政策協調を通じて、日本の経済成長率を高め、マクロの需給バランスを一層引き締めることが重要な課題となる。また、超低金利環境に伴う副作用の緩和措置や金融政策の枠組みの修正等を通じて、インフレ目標達成に向けた長期戦への備えを固めることも重要となろう。
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