サマリー
現在、政府の掲げる「デフレ脱却」や日本銀行の2%のインフレ目標が正念場を迎えている。本稿では、「大胆な金融緩和」の4年間の特徴を「光」と「影」の両面から整理しつつ、今後の課題について分析した。
大胆な金融緩和を概観すると、全ての始まりは2012年11月15日、自民党の安倍晋三総裁による金融政策を巡る発言にまでさかのぼることができる。その後、10年国債利回りがマイナスを記録するなど大きな衝撃波となった。
4年間のコアCPIの動向を総括すると、最初の2年間はインフレ目標の達成に向けて着実に進んでいたが、その後、風向きが急変してインフレ目標から徐々に後退してしまったと整理できる。
国債の保有額や購入割合という観点からみると、日本銀行による大量の国債購入は、「実質的な直接引受け」のような状態だと言える。しかし、周知の通り、現在、日本銀行は法律に従って国から国債を直接購入しておらず、直接引受けには該当しない。
今後の金融政策の優先課題としては、①長期戦に向けた金融政策の枠組みの再構築、②サプライズから対話路線へのシフト、③大胆な金融緩和の副作用に関する丁寧な説明——の3つが指摘できる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日