2020年01月16日
サマリー
◆四半期金融レポートは、国内外の資金循環や金融面での構造的な変化、その兆候を四半期ごとに点検することを目的としている。本レポートにおいては、足元で注目度の高い3つのテーマを取り上げる。
◆①ドル資金需要の高まりと年末越え資金確保:例年末、米国系銀行が市場へのドル資金の放出を抑制することなどを背景にドル調達プレミアムは上昇する。2019年末はニューヨーク連銀の資金供給等によりプレミアムの上昇は限定的であったものの、為替スワップへの依存にリスクが伴うことには変わりがない。国内金融機関は安定調達基盤を確保する必要があろう。
◆②活発化した社債発行の実態は?:2019年は社債の発行が活発に行われた。金利の低下を捉えて調達コストを下げたい企業と、低金利下で少しでも利回りを確保したい投資家の思惑の一致が社債発行を促進したとみられる。社債の中身を見ると、年限の長期化傾向が続いていること、高格付けの企業による発行が依然として大宗を占めていること、調達した資金の多くは借換えに用いられるであろうことが指摘できる。
◆③銀行法施行規則の改正と地域銀行の投資信託解約行動:銀行法施行規則の改正により、銀行等は投資信託解約損益を除くコア業務純益の開示が義務付けられた。2018年度中間期から2019年度中間期にかけて、コア業務純益における投資信託解約益への依存度が高い地域銀行が減少している。また、各行の投資信託解約益への依存度と本業における収益の関係を確認すると、投資信託解約益への依存度が大きい地域銀行ほど本業の収益性が低い傾向にあることがわかる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
四半期金融レポート 2019年10月号
住宅関連の駆け込み需要は前回より鈍いが、家計の負債は増加基調
2019年10月04日
-
マイナス金利政策を採用する中央銀行の工夫
階層構造導入とイールドカーブへの働きかけ
2019年12月16日
-
コア業務純益から投信解約損益を除外する見直し【確定版】
コア業務純益の増加目的で投資信託を購入するインセンティブの低下も
2019年10月09日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日