2018年08月16日
サマリー
◆足元、トルコは通貨、国債、株価のトリプル安という「トルコ・ショック」に直面している。「トルコ・ショック」はトルコが元々国際資金フローの変動に脆弱であったことに加え、エルドアン大統領の強硬姿勢を背景に、米国-トルコ関係の緊張が高まったことが契機となって発生した。こうした中、「トルコ・ショック」がグローバルに伝播するのではないか、との懸念がある。
◆米国-トルコ関係の悪化は個別の問題であり、政治的緊張といったトリガーがなければ、他の新興国への影響は限定と考えられる。ただし、米国の利上げが継続すると見込まれる中で、脆弱国を中心に資金流出懸念はくすぶっている。何らかのトリガーがひかれた場合、トルコ・ショックが他人ごとではなくなるかもしれない。
◆トルコに対してエクスポージャーを持つ国・地域でも、各国与信全体に占めるトルコ向け与信のシェアは相対的に低い。ただし、トルコリラ安を背景に、リラ建ての与信が多いスペイン、フランスに関しては為替差損の発生、ドル建ての与信の多いイタリアに関してはトルコ企業等の債務返済コストの上昇に留意すべきと言える。
◆今回の「トルコ・ショック」をまとめれば、米国が利上げを継続する中で、新興国における資金流出懸念が潜在的に存在しており、政治・外交的な緊張の高まりと対外的な脆弱性が合わせ技となって引き起こされたものと言える。スペイン、フランス、イタリアの銀行の株価が下落したように、不安が資金逃避につながり、連想を通じて結果的に国際的に影響を及ぼす可能性もある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
持分法適用関係にある上場会社への制度的対応
様々な類型が想定される状況で対応方法を検討
2026年11月06日
-
「金利のある世界」での財務レバレッジ再考
日米欧比較から探る日本企業の最適資本構成のあり方
2026年11月02日
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

