ドル依存の高まりとリスク伝播の懸念
『大和総研調査季報』 2018 年新春号(Vol.29)掲載
2018年03月01日
サマリー
主要国の金融政策で政策転換に至らないまでも、市中金利上昇の可能性は、資金調達環境に変化をもたらすことになる。そこで、リーマン・ショックから最近までの市場、経済動向を踏まえて、国際的な銀行与信と証券投資動向に不適切な面がないかを確認した。指摘される懸念材料は、米国の金融政策、想定外のリスクの伝播、そして邦銀のドル資金調達である。
証券投資の多くを占めるようになったシャドーバンキングは、短期金融市場で大きなプレゼンスを有し、リスクを伝播させることもある。テーパー・タントラムの動向からは、新興国でドル建て債務が増加している下、米国の金融政策や市場動向が注目される。
一方、アイルランドが米国に対する大きなエクスポージャーを持つことが分かった。巨大な債務を抱える中国は国際与信のプレーヤーとしても台頭し、これらは想定外のリスクの伝播の可能性が高まっていることを示す。
日本においても、邦銀のドル建て与信が拡大して、安定したドルの調達が課題となっている。日本も危機を伝播させる結節点の一つになり得ると言えよう。
大和総研 調査本部が、その長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、経済、金融資本市場及びそれらを取り巻く制度を含め、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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