2018年03月01日
サマリー
主要国の金融政策で政策転換に至らないまでも、市中金利上昇の可能性は、資金調達環境に変化をもたらすことになる。そこで、リーマン・ショックから最近までの市場、経済動向を踏まえて、国際的な銀行与信と証券投資動向に不適切な面がないかを確認した。指摘される懸念材料は、米国の金融政策、想定外のリスクの伝播、そして邦銀のドル資金調達である。
証券投資の多くを占めるようになったシャドーバンキングは、短期金融市場で大きなプレゼンスを有し、リスクを伝播させることもある。テーパー・タントラムの動向からは、新興国でドル建て債務が増加している下、米国の金融政策や市場動向が注目される。
一方、アイルランドが米国に対する大きなエクスポージャーを持つことが分かった。巨大な債務を抱える中国は国際与信のプレーヤーとしても台頭し、これらは想定外のリスクの伝播の可能性が高まっていることを示す。
日本においても、邦銀のドル建て与信が拡大して、安定したドルの調達が課題となっている。日本も危機を伝播させる結節点の一つになり得ると言えよう。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日

