2017年01月27日
サマリー
◆2016年1月に日本銀行の金融政策決定会合で「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入され、企業の資金調達コストには幾分かの低下が見られた。ただし、リスクプレミアム(資金調達をする主体の信用リスクに応じて市場金利に上乗せされる金利)は拡大している。
◆企業の金融機関からの借入残高は増加が続いているものの、伸び率に鈍化が見られる。主因は大企業であり、企業収益が好調で内部留保が潤沢にあることから、手元資金を運転資金や設備資金に充てているものとみられる。ただし、長期資金を調達するために年限の長い社債を発行したり、財務健全化のために劣後債・劣後ローンを利用する企業は増えている。中堅・中小企業では設備資金を中心に借入残高の増加が続いている。
◆2013年4月に量的・質的金融緩和が導入され、それ以降の企業の資金調達環境は概ね良好である。設備投資や賃金も緩やかであるが増加している。その傾向は足元においても継続しているが、マイナス金利政策の導入でその状況が一層改善されたとは言い難い。
◆マイナス金利政策導入の目的が“企業コンフィデンスの維持”であることに鑑みれば、目的は達成していると言える。しかし、世界経済の先行き不透明感が高まる中、今後企業コンフィデンスが悪化していくリスクも高まっている。マイナス金利政策導入後の1年を振り返る限り、今後一層の金融緩和を実施したとしても、その効果は限定的なものになる可能性が高い。官の政策としてできることは、成長戦略に着実に取り組んでいくことだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2016年度の企業の資金調達動向
低金利下で負債調達が堅調、株式市場では投資家に資金を戻す動き
2017年06月01日
-
自社株買い増加の背景と今後の動向
コーポレートガバナンス・コードが自社株買いを増加させる可能性
2015年07月24日
-
異次元金融緩和が企業金融に与えた影響
『大和総研調査季報』 2015年春季号(Vol.18)掲載
2015年06月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
家計部門の預金残高の推計(後編)
都道府県別の預金残高と金融商品選択志向の変化
2026年09月11日
-
家計部門の預金残高の推計(前編)
国内全体の預金残高の推移
2026年09月11日
-
新コードに基づくCG報告書の開示が始まった
開示原則以外の記述は?解釈指針への対応は?
2026年09月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

