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マイナス金利が企業の資金調達に与えた影響

「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入後1年を振り返る

金融調査部 主任研究員 太田 珠美

サマリー

◆2016年1月に日本銀行の金融政策決定会合で「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入され、企業の資金調達コストには幾分かの低下が見られた。ただし、リスクプレミアム(資金調達をする主体の信用リスクに応じて市場金利に上乗せされる金利)は拡大している。


◆企業の金融機関からの借入残高は増加が続いているものの、伸び率に鈍化が見られる。主因は大企業であり、企業収益が好調で内部留保が潤沢にあることから、手元資金を運転資金や設備資金に充てているものとみられる。ただし、長期資金を調達するために年限の長い社債を発行したり、財務健全化のために劣後債・劣後ローンを利用する企業は増えている。中堅・中小企業では設備資金を中心に借入残高の増加が続いている。


◆2013年4月に量的・質的金融緩和が導入され、それ以降の企業の資金調達環境は概ね良好である。設備投資や賃金も緩やかであるが増加している。その傾向は足元においても継続しているが、マイナス金利政策の導入でその状況が一層改善されたとは言い難い。


◆マイナス金利政策導入の目的が“企業コンフィデンスの維持”であることに鑑みれば、目的は達成していると言える。しかし、世界経済の先行き不透明感が高まる中、今後企業コンフィデンスが悪化していくリスクも高まっている。マイナス金利政策導入後の1年を振り返る限り、今後一層の金融緩和を実施したとしても、その効果は限定的なものになる可能性が高い。官の政策としてできることは、成長戦略に着実に取り組んでいくことだろう。

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