自社株買い増加の背景と今後の動向

コーポレートガバナンス・コードが自社株買いを増加させる可能性

RSS

サマリー

◆企業の自社株買いが増加傾向にある。この背景には、2014年~2015年に策定された日本版スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードにより、機関投資家や上場企業の中で資本効率に対する意識が高まっていることがあるようだ。


◆米国では自社株買いが多用されているが、これは自社株買いが配当を代替するものとして機能しているためである。日本では株主構成や制度的な背景から、自社株買いは配当に代替するものとはなっていない。株主還元として実施される場合、配当に追加して実施されることが大半である。


◆コーポレートガバナンス・コードの実施を受け、政策保有株式の削減が進み、株主構成が変化するのであれば、株主還元が配当から自社株買いにシフトする可能性もある。また、安定株主の減少により敵対的買収のリスクが高まることも、自社株買いが増える要因となり得る。ただし、同コードの目的は企業価値の向上にあり、自社株買いが余剰資金の使い道として適切であるかどうか、合理性を検討した上で実施することが必要だろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート