2015年07月24日
サマリー
◆企業の自社株買いが増加傾向にある。この背景には、2014年~2015年に策定された日本版スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードにより、機関投資家や上場企業の中で資本効率に対する意識が高まっていることがあるようだ。
◆米国では自社株買いが多用されているが、これは自社株買いが配当を代替するものとして機能しているためである。日本では株主構成や制度的な背景から、自社株買いは配当に代替するものとはなっていない。株主還元として実施される場合、配当に追加して実施されることが大半である。
◆コーポレートガバナンス・コードの実施を受け、政策保有株式の削減が進み、株主構成が変化するのであれば、株主還元が配当から自社株買いにシフトする可能性もある。また、安定株主の減少により敵対的買収のリスクが高まることも、自社株買いが増える要因となり得る。ただし、同コードの目的は企業価値の向上にあり、自社株買いが余剰資金の使い道として適切であるかどうか、合理性を検討した上で実施することが必要だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
マイナス金利が企業の資金調達に与えた影響
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」導入後1年を振り返る
2017年01月27日
-
2014年度の企業の資金調達動向
銀行借入れは増加したが、資本市場を通じた資金調達は限定的
2015年06月05日
-
ROEの性質と利用する際の注意点
最終目的は数値の達成ではなく企業価値の向上と持続的成長の実現
2015年05月29日
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日