2015年05月29日
サマリー
◆ROEへの関心が高まっている。安倍政権が公表した日本再興戦略およびその改訂版において、企業の収益性向上に焦点が当てられたことを契機に、2014年はJPX日経インデックス400の創設、伊藤レポートによるROE向上の推奨等、ROEを巡り様々な動きがみられた。日本版スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの影響もあり、機関投資家が投資先企業に対しROEの向上を求めたり、企業が経営計画にROEの数値目標を掲げるといった動きもみられるようになっている。
◆海外と比べ、日本企業のROEは全体的に低い。ROEの差は売上高当期純利益率の違いによるところが大きいが、欧米は企業の廃業率・上場廃止率が高く、サバイバル・バイアスの結果、ROEが高くなっている可能性もある。
◆ROEは数値が高いほど自己資本を効率的に活用している企業と評価されるが、本業以外の要因で大きく変動する可能性があること、長期的に見て平均回帰する傾向があること、また採用する会計基準によって数値が変わることなど、その性質を理解した上で用いることが重要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日