日米株式市場の相違点
株式市場構造と取引手法
2014年07月28日
サマリー
◆日本株式市場は米国の制度を参考にしながらも、独自の発展を遂げており、現在は市場構造や取引手法について相違点が多くみられる。日本では制度改正等の際に米国を参考にすることが少なくないが、その際、両国間にどのような相違があるのか理解しておくことが、議論を効率的に進めるにあたって重要であろう。
◆日本は取引執行が東京証券取引所に集中しているのに対し、米国では国法証券取引所や店頭市場(ATSを含む)に広く分裂している。一方、非上場証券取引特権が認められていることやNMS(National Market System)により、分散している市場が1つの市場のように機能していることが特徴的である。
◆日本と異なり、米国はスペシャリストやマーケット・メイカーといった流動性供給者が存在する。流動性が供給されることは市場参加者にとっては良いことであるが、メイカー・テイカー手数料の存在が価格形成を歪めている可能性など、問題も指摘されている。また、2001年に呼値単位が縮小され、相対的にマーケット・メイカーが収益を挙げにくくなっており、流動性が低い銘柄には取引インセンティブが働かなくなっているとの指摘もある。中小型株の売買活性化のため、試験的に呼値単位を拡大する動きもみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2015年01月23日
"アジアナンバーワン"の取引所が果たす役割
日本・香港・シンガポールの取引所は競合関係なのか
-
2014年05月12日
HFTを巡る議論の動向
市場の公正性や安定性に影響を及ぼす懸念が根強く存在
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月27日
内外経済とマーケットの注目点(2022/5/27)
世界経済の先行きは不透明だが、最近の日本株は底堅く推移している
-
2022年05月27日
パーパスドリブンで切り拓く「ポストSDGs時代」の経営
経営戦略としてのサステナビリティ
-
2022年05月26日
消費データブック(2022/5/26号)
個社データ・業界統計で足元の消費動向を先取り
-
2022年05月25日
日本のインフレ展望と将来の財政リスク
コアCPI上昇率は2%程度をピークに1%弱へと低下していく見込み
-
2022年05月26日
米国株式市場の注目点
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想