HFTを巡る議論の動向
市場の公正性や安定性に影響を及ぼす懸念が根強く存在
2014年05月12日
サマリー
◆米国でHFT(超高速取引)に対する規制議論が活発になっている。3月末にHFTを批判的に描いた「Flash Boys」が出版されたことで社会の注目が高まった形だが、欧州でもHFT規制の導入が承認されるなど、規制強化の動きは世界的なものになっている。
◆世界的に大きく拡大してきたHFTは、価格発見機能や流動性の面に対してポジティブな効果をもたらすとされる一方で、市場の公正性に対する懸念が拭いきれないことや、市場の安定性に対してリスクをもたらす懸念などが根強く存在する。
◆世界における「長期的投資」を重視しようとする流れ、そして日本でも長期的なリスク・マネー供給を増やそうとする国家的命題の中、そうした投資家を呼び込むためには、少なくとも不公平感に対する疑念の払拭や、市場の公正性確保に向けた努力が必要と考えられる。
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