2012年10月12日
サマリー
◆アジア通貨危機以降、アジア経済は着実に成長すると同時に、経常黒字への転換、外貨準備の増加等を要因として総じて対外ショックに対する対応力を増している。
◆アジア通貨危機以降、アジア各国は、危機への備えとして外貨準備の増加、域内の2国間通貨スワップ取極の締結(CMI(チェンマイ・イニシアティブ)に基づくスワップ取極とそれ以外のスワップ取極)、複数の2国間通貨スワップを迅速且つ同時に発動できるようにしたCMIM(チェンマイ・イニシアティブのマルチ化)を締結し、金融セーフティネットの整備を進めている。
◆これらの金融セーフティネット(外貨準備も含めた)の規模が十分か、アジア通貨危機時とリーマン・ショック時の資本流出額で比較すると、十分対応できることが分かった。
◆ただし、CMIに基づくスワップ取極、CMIM共に発動された実績が未だない。両者の100%発動には、IMFプログラムの発動を必要とすることが理由と思われる。IMFプログラムとのリンク維持を所与とした場合、実質的に金融セーフティネットを強固にするためには、CMIと別枠での2国間通貨スワップ拡大が適当と思われる。
(注)なお、本レポートの対象国は、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポールとする。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
成長資金獲得に向けたアジアの金融協力
「守り」から「攻め」の姿勢へ
2014年05月20日
-
インドネシアは苦境を脱するのか
利上げは金融市場の安定にポジティブ。危機への耐性は高い
2013年09月02日
-
第3の矢(成長戦略)の一翼を担うアジアとの金融協力
アベノミクスにおける成長戦略を支える「タマ」込め
2013年05月16日
-
二極化しているASEAN株式市場
好調なタイ、フィリピン、インドネシア。マレーシアにも注目。
2012年12月28日
同じカテゴリの最新レポート
-
成長と新陳代謝を促進するグロース市場改革
スタンダード市場への影響も注視
2025年05月12日
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日