日本の農業の効率性改善の鍵はIT

IoT時代のIT投資と「稼ぐ力」:農業分野

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サマリー

◆世界上位国と比較すると、日本は農業従事者1人あたりの農用地が小さく、1人あたりの農業GDPも少ない。また、日本において生産額の大きい品目であっても、世界の水準と比較すると必ずしも生産性が高いわけではない。高齢化で従事者数が減少していくとみられる日本で農業の労働生産性を向上させるには、農産物の付加価値を高めると同時に、効率よく生産することも求められる。


◆米国の農業におけるIT投資額は2013年で約70億ドル(全体の約18%)であり、農業ITストックも一貫して増加傾向にある。米国は2000年以降に農業総産出額を大きく伸ばしており、農業へのIT投資により労働生産性が向上した可能性が示唆される。一方、日本は1984年以降農業総産出額が減少傾向にある。日本の農業におけるIT投資は1999年の約728億円をピークに減少傾向にあり、ITストックも2001年の約2,835億円をピークに一貫して減少している。米国と比較して日本は農業へのIT投資が伸び悩んでいるが、見方を変えれば、日本の農業はIT投資によって労働生産性が向上する余地が大きいともいえよう。


◆農業へのIT活用事例は、主に「生産効率化」「マーケティング」という2つの目的に分類できる。生産効率化ではコスト削減、品質平準化などの効果が期待される。マーケティングでは、情報を活用して生産から消費までを最適化することで、周辺分野を含めた全体での付加価値向上が期待される。これまでの事例には生産効率化へのIT活用事例が多く見られるが、今後はマーケティングへのIT投資によって付加価値向上に取り組むことも重要になる。


◆国は日本再興戦略改訂2014において農業の強化を掲げており、輸出促進を通じた「稼ぐ力」の拡大も視野に入れている。世界最先端IT国家創造宣言には、ITを活用した農業・周辺産業の高度化・知識産業化が挙げられている。減少する労働力の代替、反収の増加、付加価値向上をIT活用によって実現し、労働生産性向上を実現することが期待される。

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