FIT(Feed-in Tariff)は、固定価格買取制度のことで、再生可能エネルギー導入を推進するため、再生可能エネルギーによって発電された電力を、10~20年などの一定期間、固定価格で電力会社が買い取ることを義務付けるものである。再生可能エネルギーによる発電を行う事業者は、FITによって設備コスト回収の見通しをたてやすくなるため、再生可能エネルギー導入が進むことが期待されている。
欧州ではFITなどの施策によって太陽光発電や風力発電の導入が進んでおり、発電電力量全体の中で自然エネルギー(※1)による電力の占める割合が、ドイツでは22.9%(2012年)、デンマークでは40.7%(2011年)、スペインでは28.9%(2012年)となっている(※2)。
日本では、2012年7月1日から実施されている(※3)。買い取り価格は技術進歩や市場競争による価格低下などを考慮して毎年度、見直されることになっており、2013年度の価格は図表1のようになった。2年目に買い取り価格が引き下げられたのは、システム費用(太陽光パネル、パワーコンディショナー、架台、工事費を含む価格)が低下した太陽光発電だけで、その他の再生可能エネルギーは実施当初と変わっていない。
買い取りに要した費用は、「再生可能エネルギー賦課金(※4)」という形で、通常の電気料金に加えて需要家が負担している。社会全体で費用負担することで、再生可能エネルギーの普及・拡大を目指す仕組みである。再生可能エネルギー導入が進むほど、再生可能エネルギー賦課金も増えるため、家計を圧迫するという批判もある。そのため、買い取り価格の見直しが適切に行われることが求められている。
現在、認定された設備容量も運転開始した設備容量も、9割以上が太陽光発電である(図表2)。太陽光発電以外の設備は、地質調査や環境アセスメントなどが必要で設置に時間がかかるため、申請・認定に至るものがまだ少ない。また、これから普及が期待されている洋上風力発電は買い取り価格が決まっていないが、関係者の間には陸上風力発電よりも高くすることを望む声がある。
(※1)本稿での「再生可能エネルギー」と同義。
(※2)公益財団法人 自然エネルギー財団 「エネルギー基本計画 3つの論点」
(※3)資源エネルギー庁 「なっとく!再生可能エネルギー」の「固定価格買取制度」
(※4)再生可能エネルギー賦課金の単価は、買い取りに要した費用から、電力を買い取ることにより節約できた燃料費などを差し引いて算出されている。
(2013年9月24日掲載)
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