サマリー
◆エネルギーは企業活動や人々の暮らしを支えるための基盤である。エネルギー価格の上昇は日本の経済成長にとって大きな足枷となりかねない。
◆一方で、省エネ技術や代替エネルギーの開発・促進といったイノベーションがエネルギー価格の上昇を吸収できれば、必ずしも経済成長の制約となるものではない。
◆エネルギーを安定的かつ経済的に利用(エネルギー安全保障を確保)するためには、エネルギーの種類や発電方法、そして化石燃料の調達先を多様化していくことに加えて、イノベーションを加速させる経済環境が十分に整備される必要がある。
◆イノベーションが期待される分野には、例えば、価格メカニズムやICT(情報通信技術)による電力需給の調整や送電網の地域連携の強化、節電機能を向上させた電化製品の普及、高効率火力発電の利用拡大、そして再生可能エネルギーによる発電の拡大などの分野がある。こうしたエネルギー利用の「効率化」と「多様化」を進めることで、エネルギー安全保障だけでなく低炭素化にも結びつく。
◆経済成長を高めるには、生産性を高めるイノベーションと資源配分の最適化が必要であり、それには市場がうまく機能するような経済環境(規制緩和を含む)を政府が整備することが必要である。企業努力を引き出すことで、エネルギー利用の効率化と多様化という課題を経済成長に繋げていくことができるものと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2024年12月消費統計
耐久財は強いが非耐久財が弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年02月07日
-
インド2025年度予算案:消費回復が民間投資を促す好循環を生むか
企業投資の誘発効果の大きい耐久財セクターへの波及がポイント
2025年02月06日
-
消費データブック(2025/2/4号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年02月04日
-
「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会 会社法の改正に関する報告書
従業員等への株式の無償交付、株式対価M&A、実質株主の把握など
2025年02月04日
-
中小企業の更なるM&A促進には環境整備が急務
2025年02月07日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日