再生可能エネルギーの導入を促進するための政策。電気事業者に一定量以上の再生可能エネルギーの利用を義務付ける制度である。同様に再生可能エネルギーの導入促進政策である「固定価格買取制度(FIT)」と比較されることが多い。義務付けにより導入量を確保できること、コスト競争力のある再生可能エネルギーから導入が進むことなどが特徴である。
日本では、2003年「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(以下、RPS法)として導入された。RPS法では、再生可能エネルギーのうち、太陽光、風力、地熱、小水力(1MW以下)、バイオマスを「新エネルギー等」と定義づけ、電気事業者に毎年一定割合以上の「新エネルギー等」利用を義務付けた。電気事業者は、自ら新エネルギー発電所を新設するか、新エネルギー発電事業者から電力を購入し、義務履行しなくてはならないこととなった。
制度導入後6年間(2003年から2008年)は、実績導入量が義務量を大きく上回る結果となった(図表1)。超過分は次年度以降にバンキング(繰り越し)することができることから、2009年以降も義務量を達成している。義務量は、電力総供給量の1%程度にすぎず決して厳しくなかった。その証拠に、RPS法下における新エネルギーによる発電電力の取引価格は7円~11円/kWhと低価格で推移しており、買手市場であったことがわかる(図表2)。
RPS制度を導入している国は、イギリス、オーストラリア、韓国など。イギリスでは、小規模発電設備を対象に固定価格買取制度を導入しており、制度を併用している国もある。日本政府は、2012年7月より同法を廃止し、再生可能エネルギー特別措置法のもと固定価格買取制度(FIT)を導入すること決定した。
図表1 RPS法に基づく義務履行状況
(出所)資源エネルギー庁「RPS法施行状況」(各年)より大和総研作成
図表2 RPS法下における新エネルギー等取引価格
(出所)資源エネルギー庁「RPS法下における新エネルギー等電気等に係る取引価格の調査結果について」(各年)より大和総研作成
(2012年7月31日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日