TNFD提言に基づく情報開示の現状と課題

早期に開示を始めたTNFD Adoptersから学ぶ

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2025年04月01日

サマリー

◆TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく情報開示に取り組むことを表明した‟TNFD Adopters”は、世界全体で500機関を超える。日本はそのうち最多の150機関を占める。

◆既にTNFD開示を行っている上場企業63社の開示状況を確認したところ、「ガバナンス」および「リスクとインパクトの管理」は多くの企業が開示を行っていた。背景には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応を通じて一定の体制構築が行われていたことが考えられる。

◆「戦略」に関しては、LEAPアプローチを活用した自然関連の依存、インパクト、リスクと機会の特定が進められていることが確認できた。移行計画の策定やシナリオ分析の実施まで取り組めている企業は少数である。「測定指標とターゲット」の開示も多くの企業が対応している。TNFDが求めるグローバル中核開示指標を使用している企業もあれば、独自の指標を使っている企業もある。

◆世界経済フォーラムの‟The Global Risks Report 2025” 20th Editionでは長期的なリスクの第2位に「生物多様性の損失とエコシステムの崩壊」が挙げられていた。企業は早期に自然資本の依存、影響、リスクと機会を評価し、TNFD対応を進めることが事業の持続性の観点から重要である。また、それは将来的に情報開示が制度化した場合への備えにもなり得る。

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