地域銀行が取り組むLGBTQ+の金融包摂

同性カップルに対応した住宅ローン提供拡大の背景と今後の課題

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  • 金融調査部 研究員 中 澪

サマリー

◆同性婚が認められていない日本では、異性婚に基づく家族関係を前提とした金融商品・サービスはLGBTQ+の金融排除につながる。本稿では、地方銀行と第二地方銀行(本稿ではこれらを「地域銀行」と総称)に焦点を当て、金融包摂に向けた取組みの現状を明らかにするとともに、その背景と取組みの推進に向けた今後の課題を議論する。

◆地域銀行の間で、同性カップルに対応した住宅ローンの提供が拡大している。地方自治体による「パートナーシップ制度」の導入が、こうした対応を後押ししていると考えられる。その他には、地域銀行の経営課題としてサステナビリティの重要性が高まったことも背景として示唆される。

◆地域銀行全体としては取組みが進展しているが、都道府県間の地域格差がある。もっとも、その地域格差は「進んでいる都市、遅れている地方」という二分法では捉えられない。本店所在地の都道府県別に見ると、東京都や大阪府よりも、島根県や徳島県、佐賀県のような人口規模が特に小さい県の方が、対応している地域銀行の割合は高い。

◆金融アクセスのさらなる改善に向け、対応する地域銀行の増加による地域格差の是正が求められる。今後の課題として、利用条件の見直しやLGBTQ+が安心できる店舗環境づくりへの取組みも必要であると考えられる。

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