TCFDに沿った情報開示の状況(戦略)

TOPIX500採用会社の任意開示書類での気候変動に関する情報開示

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サマリー

◆本稿では、TOPIX500採用会社のうち、任意開示書類(統合報告書、サステナビリティレポートなど)を発行している企業(439社)の2022年9月末時点におけるTCFDに沿った情報開示の状況を整理し、今後の開示に向けて得られた示唆について述べる。本稿では、TCFDで開示が求められる、気候変動に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」のうち、「戦略」にフォーカスする。

◆「戦略」については、特定した気候関連リスク・機会やその影響(329社)、影響の大きさ(216社)、リスクへの対応策(241社)などを開示している企業が多く見られた。また、シナリオ分析に当たって、外部機関のシナリオを参照している企業も250社あり、特にIPCC(213社)やIEA(200社)のシナリオを利用している企業が多かった。

◆「戦略」に係る情報は、TCFDに沿った開示の中でも特に投資家の投資判断への影響が大きい、核となるものと考えられる。今後、有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められる。企業は気候関連リスク・機会を特定し、その影響を考慮した戦略を通じて自社の持続的な企業価値を高めていくことが可能となる。まずはできるところから順に取り組みを進め、投資家に向けた開示を行っていくことが期待される。

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