2022年11月04日
サマリー
◆本稿では、TOPIX500採用会社のうち、任意開示書類(統合報告書、サステナビリティレポートなど)を発行している企業(439社)の2022年9月末時点におけるTCFDに沿った情報開示の状況を整理し、今後の開示に向けて得られた示唆について述べる。
◆「ガバナンス」については、気候変動に関するガバナンスや取り組みの推進の体制・プロセス(347社)、ガバナンスや取り組みの推進に関わる機関の役割(220社)やメンバー(211社)を開示している企業が多く見られた。
◆「リスク管理」については、気候変動リスクの特定・評価プロセス(232社)、リスク管理プロセス(274社)、企業全体のリスク管理への気候変動リスク管理の統合(277社)に関する開示が行われていた。
◆今後、有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められることが想定される。金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループから、特に「ガバナンス」と「リスク管理」については、企業が自社の経営環境などを踏まえたサステナビリティ情報の認識や重要性の判断をするための枠組みが必要となる観点から、全ての企業が開示すべきと提案されている。上場会社等は、投資家のニーズに応えるためにも、他社の開示状況なども参考にしつつ、積極的な開示を進めていくことが期待されるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
ディスクロージャーワーキング・グループ報告(サステナビリティ情報の開示拡充)
2022年06月20日
-
企業の気候変動情報の開示に関する国際的な基準案が公表
ISSBの公開草案についてQ&A形式で解説②
2022年04月22日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日