2020年12月01日
サマリー
◆企業に対して株主だけでなく、ステークホルダーへの価値提供を求める声が高まっている(株主第一主義からの転換、ステークホルダー資本主義)。企業に資金を提供する投資家に対しても、短期ではなく中長期的な企業価値の向上を評価することが求められている。
◆投資判断に投資先企業の環境や社会に対する取り組みを組み込むESG投資も増加傾向にある。投資が社会に与えるインパクトを考慮する投資家も増えている。
◆米国では経営陣がステークホルダーの利益を考慮することを認めるBenefit Corporationという法人形態が存在するが、近年はこのBenefit Corporationが株式公開に至る事例が出始めている。また、英国やカナダなどにおいては、社会的企業とインパクト投資家をつなぐソーシャル証券取引所の創設も行われている。
◆従来、株式市場では株主に対して経済的利益を提供できる企業が評価されてきた。企業がステークホルダーへの価値提供を掲げること、投資家が投資先企業の環境や社会への対応を考慮すること、そして社会的なインパクトを評価する動きは、株式市場のパラダイム・シフトとも言える。こうした動きは今後加速していくことが予想される。
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