2020年05月01日
サマリー
◆社会的インパクト投資市場の拡大において、ベンチャーキャピタル(VC)の役割が期待される。社会的インパクト投資の要件の1つとして提唱される「投資家による貢献」を実現する上では、VC投資のスキームが適していると考えられるためだ。
◆VCがベンチャー企業へ社会的インパクト投資を行うにあたり、大企業と比較してリソースが少ないベンチャー企業が事業のインパクト評価をどのように行うのかという課題がある。また、企業にとってはエグジット後のミッション・ドリフト(株主からの要求を受けて企業が資源配分を変えることにより、本来の社会的な目的を達成できなくなることを指す)を防ぐことも重要である。
◆社会的インパクト投資の牽引役としてのソーシャル・インパクト・ベンチャー・キャピタル(SIVC)への期待は大きい。社会的インパクト投資が拡大していくためには、SIVCだけではなく、SIVCへの資金の出し手や投資先企業の理解も必要であり、ソーシャル・ベンチャー上場後の担い手も含めて、社会的インパクト投資を支えるエコシステムが築かれることが重要である。
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