2015年02月19日
サマリー
◆家庭部門におけるエネルギー消費量は40年間で2.1倍に増加した。2010年度以降、世帯・人口推移からみたエネルギー消費量は自然減に転じているが、家電ストック台数はなお増加傾向にあり、エネルギー消費を押し上げる一因となっている。快適性・利便性を享受しながらエネルギー消費の増加を食い止めるためには、家電ストックの高効率化(ハード面の対策)と高効率利用(ソフト面の対策)が求められる。
◆トップランナー制度により、出荷ベースでの家電の高効率化は進んでいるものの、家電は買替えを誘発しにくい消費財であり、ストックベースでの高効率化には時間を要す。買替えの障壁を取り除く一方で、買替え需要のある消費者が高効率製品を選択するような地道な施策が望まれるだろう。
◆家庭の省エネルギーを一歩進める期待として、電力小売自由化に伴うHEMSの普及があげられる。「見える化」による省エネルギー効果があるだけでなく、今後、多様な電力料金メニューが提供され、家電の「自動制御」へのニーズが高まればHEMSを利用した省エネルギーが広がるだろう。
◆家庭部門の省エネルギーは、電気代削減による家計の改善だけでなく、新規電源投資の抑制など供給コストの低減にも寄与する。ディマンドリスポンスは、こうした価値に対価が支払われる仕組みの1つである。今後、小売事業の競争が進むなかで、省エネルギーの価値に対する評価が進み、さらなる省エネルギーを生み、社会全体の経済効率化と環境負荷低減が進むことに期待を込めたい。
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