サマリー
◆人工知能(AI:Artificial Intelligence)は、生成AI技術の発展によって能力が各段に向上している。2045年には「シンギュラリティ(技術的特異点)」が到来し、人間の存在意義や仕事内容、役割も大きく変わることが想定される。本稿では、AI技術の進化をテーマとして、企業経営における知的財産戦略を軸としたAI技術対応のあるべき姿について考察する。
◆AI技術の進化によって、知的財産戦略自体が大きく変革することが見込まれる。AI時代の知的財産戦略ではデータ分析を軸とする「IPランドスケープ」がより進化して、経営戦略上の重要テーマになると考えられる。本稿では、「IPランドスケープ」を「知的財産情報を軸として非知的財産情報(市場動向、技術トレンド、個別企業分析、市場シェア、アライアンス情報など)を含めて、経営的な視点で分析を行うこと」と定義する。IPランドスケープを活用して経営戦略(開発戦略、事業戦略、組織戦略)を描き、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投資配分や有望な知的財産を保有している企業との共同研究やM&Aを検討すべきである。
◆日本政府は「生成AI技術の登場」に対し、「新たな仕組みづくりや課題への対応方法」について検討を始めた。例えば、内閣府は「法制度や倫理面での課題対応」を主要テーマに掲げており、「知的財産推進計画2023」では、生成AI技術から派生する著作権問題や、AI技術の発明保護の在り方を最重要テーマに定めている。経済産業省では、AIガバナンスという視点でのAI時代の企業経営の在り方などの議論も進めている。
◆AI技術の飛躍的進化にどのように対応すべきか、しっかりとした戦略イメージを持つことが重要である。AI技術の進化による未来予想図を作成した上で、「ビジネスモデルへの影響」、「イノベーションプロセスへの影響」、「知的財産戦略への影響」の重要3項目を考慮して戦略を検討すべきである。また、「自社でのAI技術の活用」、「AI人材の育成・確保」、「AIガバナンスへの対応」なども今後の検討課題として挙げられる。
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