日米の一人当たりGDPが現在の中国の水準であった1970年代以降の両国の景気変動を見ると、消費は比較的安定的に推移しており、成長率の変動は消費以外の需要項目に大きく左右されている。中国の場合も、中期的には、消費と投資のインバランスを改善していくことが望ましいが、成長率への大きな影響を回避するためには、短期的には、引き続き従来同様、ある程度の投資を確保していく必要がある。またそれが、近年進んでいる対外インバランスの是正の流れを維持することにもつながる。
供給面の構造調整
2011年、中国の1次(農業)、2次(製造業)、3次(サービス業)産業の比率は、10.1%、46.8%、43.1%、製造業のうち70%は重工業で、これが固定投資の主体となって成長を牽引してきた。これに対し、日米独のサービス産業比率は、いずれもGDPの約4分の3、一般的に、一人当たりGDPが1万ドル以上の経済の3次産業比率は平均63%程度と言われており、こうした国際比較から単純に考えれば、中国では経済がさらに成長していく過程で、産業構造調整を通じ、サービス産業をまだまだ大きく伸ばす余地がある。
対外インバランス—貿易構造の変化
2008年のグローバル金融危機以降、中国の対外インバランスは大きく改善してきている。その背景には、欧米経済のスローダウンという海外要因に加え、国内要因として、人民元の上昇、国内インフレ、賃金の大幅上昇がある。対外インバランスとの関連で、近年の貿易構造について、次のような変化が注目される。第一は、中国の輸出相手先として、新興・途上地域の比重が高まっていることである。2002年、米国・日本・EU向け輸出の総輸出に占めるシェアが計51.2%、アセアン・アフリカ・ラ米が計12.2%であったが、2011年、各々43.7%、19.2%、2012年第一四半期には43.3%、19.6%となっている。特に日米向け輸出シェアの低下が著しい一方、対アフリカ・ラ米向け輸出シェアが大きく伸びている。近年、輸出鈍化がマクロ景気に与える影響を相殺して成長率を維持するため、むしろ国内不均衡は拡大してきた。中国の主要輸出先が先進地域であることになお変わりはないが、成長率の高い新興・途上地域向け輸出シェアが伸びてきていることから、先進経済の停滞からくる影響は緩和され、その分、内需による調整負担は軽減されてくる。
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