2007年に発表されたベトナム政府目標(※1)や、2009年に発表されたアジア開発銀行(以下“ADB”)のBE需要予想(※2)に基づき、ベトナムではBEのプラント建設が多く計画された。ところが原料価格高騰などにより、計画の停止・遅延が相次いだ。さらに国営石油会社のペトロベトナムは国内需要の不足を理由に、生産したBEの一部を輸出した模様である(※3)。
さらに、市場の整備も遅れている。消費者サイドやサプライチェーンにおいて、以下の3点の課題が指摘される。
このように生産計画と市場の整備が符号しないために、生産計画の見直しや、余剰生産物の輸出などの混乱が生じている。では、BE普及は全く進んでいないのだろうか。

では、ADBの需要予想は達成されるか。ベトナム副首相は商工省にBEの利用義務化のスケジュール作成を指示したと報じられている(※13)。その内容は、2013年末までに主要7都市(※14)におけるE5利用義務化、2015年6月までに全国でE5利用義務化。仮にスケジュール通りに義務化が実行されると、混合率5%という2020年の目標が前倒しで達成される。
本稿では2007年の政府目標発表以降、需給調整に失敗し混乱が生じている状況を見た。ベトナムに限らず、BE普及を急速に進めることは非常に困難である。なぜなら、BE導入計画を推進するにあたり、生産者・利用者・サプライチェーンというステークホルダーの調整を行いながらバランス良く普及を進める必要があることに加え、普及策には財政的な足かせもあるためだ。
(※2)ADB, “Status and Potential for the Development of Biofuels and Rural Renewable Energy — Vietnam” 2009
(※3)中部クアンガイ省のプラントは生産量の95%を輸出するとコメントしており、実際、同プラントで生産されたエタノールがフィリピンに輸出されたことが確認されている。(Vietnam Plus, 27 Jun 2012)
(※4)E5とはガソリン95%に対してエタノール5%が混合されたものである。
(※5)VietnamNews, 23 May 2012
(※6)実際の燃費はこのような単純な熱量計算とは異なり、実証試験などにより計測が試みられている。
(※7)吉田 仁「メコンのバイオエタノール先進国「タイ」から学ぶ」、アジアンインサイト2012年3月8日。
(※8)2010~2011年の2年間で324件もの火災事故が報告されており大学や研究機関による調査によると、その主因として低品位なメタノールやエタノールが多くブレンドされていることが指摘された。 (VietnamNews, 17 May 2012)
(※9)VietnamNews, 19 Nov 2011
(※10)ベトナム北部、中部、南部の3か所でそれぞれ年産10万klのBEプラント建設を計画。中部はすでに稼動し、北部・南部も2012年中に稼動予定とのこと。当初計画では2010年稼動予定であったが、これまで数度にわたり建設の遅延が報じられている。
(※11)商工省によると2012年末時点の生産能力は49万klの見通しで、そのうち30万klがペトロベトナムによるものである(VietnamNews, 17 May 2012)
(※12)VietnamNews, 23 May 2012
(※13)VietnamNews, 17 May 2012
(※14)Ha noi, HCM City, Hai Phong, Da Nang, Can Tho, Quang Ngai, Ba Ria-Vung Tauの7都市
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