筆者は近年の通貨改革は人民元の国際決済通貨化へ向けた地ならしと捉えている。中国は1996年にIMF8条国へ移行し、外貨集中制の廃止(07年)を以って、経常取引で得た外貨については人民元との完全な交換性を実現した。つまり、外貨口座を通じて決済された外貨は自由に金融機関へ売却も出来れば、そのまま外貨口座へ滞留しておくことも可能となった。又、人民元が管理された変動相場制へ移行したのも同じ時期(2005年)である。
これに対して、資本取引に関しては、外貨の人民元への交換、人民元による決済のいずれもかなりの部分で規制を未だ残す(中国はOECD加盟国ではないため、資本取引に関する自由化の義務は課せられていない)。対内直接投資についてはブラックリスト項目を除き、外貨の人民元転の自由化が原則的には実現済みだが(78年以降)、資本金口座は金融当局によって定期的に検査を受ける必要が有る。
人民元取引の緩和・解禁の動きとしてもう1つの注目すべき点は、証券投資に関する資本取引の自由化であろう。当局は、直接投資は実需に裏打ちされた長期の為替取引であるため、合法性、実在性を伴いさえすれば為替管理上特に問題ないと考えているようだ。01年以降に積極的に推し進められた走出去、09年に解禁された経常取引に関する人民元決済に次いで、今般、直接投資に関する人民元決済が解禁されたのは規定路線と読めなくも無い。
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