成長要因として最も注目するのは内々格差の大きさ、即ち内需拡大余地の大きさである。08年度の統計によれば、個人消費の4割は13億人のうち上位2割の高額所得者らが占めている。残りの8割は未だ6割の消費を支えているに過ぎない。彼らの年間所得は約2千ドルと計算され、これはベトナム、インドの2倍、フィリピンよりやや高く、インドネシアよりやや低い水準に位置する。中国は、彼らの所得が今後2倍、3倍と増えていくことによって消費を中心とする内需拡大型の経済へ移行しつつある。
内需拡大を促すためには、為替の元高調整を通じて購買力が底上げされ、内々格差を縮小へ向かわせるような構造改革が必要である。具体的には、中・低位所得層の所得拡大のためには第3次産業の更なる発展が不可欠であり、農業生産性の向上も必要である。その為にも、為替レートの変動相場制への移行、自由貿易協定を通じた産業構造の改革、決済通貨として人民元の普及、資本市場の一層の開放は規定路線となろう。
中期的なリスクは、(1)GDPに占める固定資本形成の割合が相対的に高いため、将来に資本ストック調整を迫られるリスク(償却コストの先送り)、(2)08年末から10年初めに掛けて形成された固定資産の中には投資採算性の低いものが含まれるため、これが銀行のバランスシートを毀損するリスク、(3)金融引締めがオーバーキルを引き起こし、資産価格が急激且つ大幅な調整に見舞われる可能性などと考える。
長期的には、中国経済がバランスシート不況に陥るリスク(デフレ)に関心を払うべきと考える。10年後、20年後には、為替が変動相場制へ移行し、資本市場は現在の日本並みに開放が進んでいるかもしれない。自由化によって裁定取引が可能となれば割高な資産価格は叩かれるのが市場原理だ。その頃までにはいずれの経済主体(国家、企業、個人)もバランスシートの大規模毀損に対するリスク管理と、グローバルなポートフォリオ管理が求められる。
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