豪に学ぶ日本の私的年金改革

スーパーアニュエーションから示される日本への3つの示唆

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サマリー

◆豪スーパーアニュエーションは、被用者を強制加入とする私的年金として普及している。雇用主に掛金拠出を義務付け安定的な資金拠出を促す仕組みや、能動的に投資行動をとらない加入者の長期分散投資を支援している点が特徴的である。本稿では、同制度の仕組みや近年の改革を踏まえ、日本の私的年金改革への示唆を3点考察する。

◆1点目は、全被用者を対象とした私的年金の普及推進である。日本でも公的年金を補完する私的年金の重要性が高まっているが、会社員の約6割が企業年金に未加入であり、十分に普及しているとは言えない。その多くは中小企業の従業員と考えられ、中小企業を対象にiDeCoを活用した資産形成制度の仕組みの導入推進が検討できる。

◆2点目は、自助努力を後押しする拠出の仕組みの構築である。具体策となるのが、iDeCoの拠出限度額を個々人共通の枠として設定するなどの見直しである。現在は働き方や企業年金の有無等で限度額が異なる。これを共通枠とし、より公平でわかりやすく、追加拠出のニーズにも対応できるようにすれば、自助努力の後押しとなろう。

◆3点目は、加入者の資産運用を支援するデフォルトファンド(指定運用方法)の見直しである。企業型確定拠出年金の加入者資産の構成は約4割が元本確保型の商品だが、指定運用方法にそれらを設定する事業主が多いことが要因の一つと考えられる。指定運用方法の運用商品を認可制あるいは届出制とするなどの制度見直しを進め、事業主がバランス型ファンド等を設定しやすい仕組みとする必要がある。

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