サマリー
◆公的年金の給付水準が中長期的に調整されることが見込まれる中、従業員の老後の所得保障として企業の退職給付制度が果たす役割は大きい。企業にとっても、退職給付を充実させることは、従業員の長期雇用や離職抑止を図る効果が期待できよう。
◆厚生労働省の調査によれば、2018年で8割以上の企業が退職給付制度を導入している。だが、従業員規模が小さい企業ほどその割合は低く、かつ、企業年金の導入割合も低い。特に、人手不足が深刻な中小企業こそ、近年整備された中小企業向けの制度を利用して、退職給付の充実に取り組む必要があるだろう。
◆近年は働き方の多様化が進み非正規雇用者などが増えてきた。老後の所得保障の充実は、多くの働き手からのニーズが高いはずだ。今後、企業に求められる退職給付の充実策は、職域でのiDeCo利用の促進や職場積立NISAの導入など、幅広く雇用者が利用できる制度の環境整備ではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
厚生年金のさらなる適用拡大はなぜ必要か
見直しの論点は従業員規模要件の緩和と就労調整する労働者への対応
2019年04月22日
-
加入者目線のiDeCo投資教育機会の充実
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況(2019年6月時点)
2019年08月02日
同じカテゴリの最新レポート
-
介護情報基盤の構築に向けた現状と課題
全国実施の遅れは地域包括ケアシステムの推進にもマイナスの影響
2025年07月10日
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
-
対象者拡大から8年、今後のiDeCoの可能性
iDeCo加入者数363万人(2025年3月末)、対象者拡大前の12倍に
2025年05月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日