拡充される混合診療について

それでも高額な保険外診療は患者の選択肢となりうるか

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2014年06月20日

サマリー

◆6月中に政府から成長戦略の改訂版が公表される予定である。その中で「混合診療」については、対象となる医療技術や医薬品が大幅に拡充され、患者にとって治療の選択肢が拡大することが期待されている。


◆具体的には、①保険診療と保険外診療を併用する「保険外併用療養費制度」の対象を拡充すること、②治験に参加しておらず他に治療法のない患者に未承認の薬を使えるようにする「日本版コンパッショネートユース」の導入、③患者の希望により国内未承認の新薬や医療機器を利用できる「患者申出療養(仮称)」の創設、④費用対効果が低く高額の医療技術や医薬品を保険対象から除外すること、などが検討されている。


◆しかし、①や②、③で混合診療が認められたとしても、保険外診療が高額であることには変わりなく、積極的に治療に踏み切れる患者は限られる。また、④で、保険適用から除外された診療については混合診療が可能だとしても、その保険適用の有無に関する評価が単に費用面によってのみ行われないよう工夫する必要があるだろう。治療費が高額であることが理由で保険適用から外されるのならば、患者の支払い能力の差によって、受けられる治療に差が生じてしまう。高額な保険外診療に関しては、保険適用とされるのが本来は望ましいだろう。


◆ただし、毎年1兆円ずつ増え続け38.6兆円(2011年度)に達している医療費による財政悪化懸念を鑑みれば、高額な医療技術や医薬品が多く含まれる保険外診療を遍く保険適用としていくことは、今の段階では現実的ではないと言える。そのため、予防をメインとした自助努力が求められると同時に、自己負担割合が低く抑制されている高齢者に対する軽減措置の見直しや受診時定額負担・保険免責制の導入、市販品類似薬の保険適用除外などによる医療費負担の適正化が検討できるだろう。


◆1入院全医療費(1回の入院でかかる全体の医療費)に占める先進医療の割合も増加傾向にある中、医療費の増加をできるだけ抑制しながら、新しい医療技術や医薬品のメリットが少しでも多くの国民に行き渡るためには、救済すべき疾患を見極めつつ、技術進歩に応じて保険の範囲を柔軟に見直していく必要があるだろう。

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