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希望をつないだ新成長戦略(下)

岩盤規制の改革は大きく進展、あとは実効性の担保

2014年06月27日

経済調査部 主任研究員 溝端 幹雄

サマリー

◆2014年6月に閣議決定された成長戦略の改訂版「『日本再興戦略』改訂2014」(以下、新成長戦略)では、事業環境について、収益性を高めるコーポレートガバナンスの強化や法人実効税率の2015年度からの引き下げが明記される点等は高く評価できるが、法人実効税率の具体的な引き下げ幅やスケジュール感、引き下げに伴う財源の確保がどこまで示されるのかは、年末に向けた税制改革大綱が決まるまで予断を許さない。


◆さらに、プロビジネス的な環境整備が必要な分野は行政手続きの簡素化・オンライン化などがあり、新たに設置される対日直接投資の司令塔やTPP等の経済連携協定といった枠組みを活用しながらも、収益性を高めるさらなるビジネス環境の整備が必要と考える。


◆農協・農業生産法人・農業委員会等の農業改革は、一部を除いて高く評価できるものである。ただし、企業による農地の所有が認められていないと農業の大規模経営が行われにくい。また、農地への優遇課税をなくし、宅地並み課税にすることで農地保有の機会費用を高めれば、本当に必要な農家や法人への農地の集約を促すことになる。


◆医療についても、特に混合診療の適用範囲を大幅に拡大することについては評価したい。ただし、混合診療について実効性のある運用体制作りが、今後の大きな課題となるだろう。例えば、治療内容等の安全性や有効性に配慮しながらも、できるだけ患者本位の治療が受けられるよう、客観的な判断ができる独立性の高い専門家会議を設けることや、適用対象の病院や診療所での治療体制を常時監視していく仕組みを設けるなどの対策が必要である。


◆グローバルな競争圧力の高まりや超少子高齢社会のピークを迎える前に、イノベーションを促す人材力の強化やそれを促す周辺環境の整備・規制改革が必要だ。今後は教育投資や人材活用への優遇政策も含めて、雇用・人材面で一歩進んだ成長戦略を打ち出すべきである。

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