持続的な社会保障制度構築への提言

~未来への責任を果たすために~『大和総研調査季報』 2013年夏季号(Vol.11)掲載

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2013年09月02日

  • リサーチ本部 執行役員 リサーチ担当 鈴木 準
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

サマリー

今後の高齢化を見通すと、遅くとも2020年代のうちに超高齢社会にふさわしい社会保障制度を構築しなければならない。賦課方式財政の下では、現役世代の賃金で実質化した社会保障給付をどう抑制するかが重要である。


本稿では、年金支給開始年齢引き上げやマクロ経済スライド、医療における自己負担割合の引き上げ、後発医薬品の普及などについて、マクロ経済との相互作用を考慮したシミュレーションを実施した。


それらの給付削減策や成長戦略の展開、消費税率の引き上げを見込むと、成長率はベースシナリオから0.2%pt程度低下するが、財政の持続性は回復する。必要な改革に挑戦すれば、超高齢化の中で成長を実現しつつ、社会保障システムを維持できる。ただし、完全な問題解決となるような政策を提示するのが難しいのも事実であり、日本の高齢化問題は深刻である。


超高齢社会では高齢者向け社会保障の全てを政府が担えない以上、民間部門の知恵を総動員して国民が直面するリスクを管理していく発想が求められる。政府による給付を抑制する必要があるならば、その抑制分を代替する民間の機能強化が必要だ。未来に対する責任として改革志向を停滞させてはならない。


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