2023年04月26日
サマリー
◆2023年4月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東海」など4地域で改善したが、生産などの企業関連の項目が悪化したために「関東甲信越」など5地域では悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、一部の地域で物価高の影響によりスーパー売上高の増勢が鈍化しているが、全国的な旅行支援やインバウンド再開、供給制約の一層の緩和による乗用車販売の持ち直しなどがあり、「東北」を除く全地域で消費が改善した。特に「北陸」「九州・沖縄」では百貨店売上高も着実に持ち直しているようだ。一方、資材価格などに起因する住宅価格の高騰によって、住宅投資は「北陸」などでやや悪化している。そうした中、雇用・所得環境については前回から大きな変化はない。引き続き労働需給はタイトであり、賃上げに動く企業も多いようだ。企業関連では、「東海」「北海道」のように自動車関連を中心に生産・輸出などが改善している地域も見られるが、海外経済の回復ペース鈍化の影響を受けて、多くの地域で生産や企業マインドなどが悪化している。例えば、「関東甲信越」「北陸」「東北」「九州・沖縄」「中国」では、生産用機械や電子部品・デバイスなどの業種で生産が弱くなっている。「関東甲信越」「九州・沖縄」では輸出も3カ月前と比べて悪化している。地域別の短観を見ると、素材や宿泊・飲食サービスなどで企業マインドが悪化している地域が多いようだ。公共投資の動向には特に変化はなかった。
◆非製造業は国内の物価高の影響が見られるが、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少や感染症法上の5類移行の発表、インバウンドの増加、賃上げの広がりなどで改善傾向にある。しかし、製造業は海外景気の後退懸念の高まりから景況感の悪化が見られる。暫くは国内要因のプラスと海外要因のマイナスが拮抗する状態が続きそうだ。今後は、物価高の影響は懸念されるものの、良好な所得・雇用や内需回復が継続して、消費は引き続き改善していくものと考えられる。一方、海外景気の後退による生産・輸出の下振れリスクには注意が必要だ。地域経済は緩やかな回復基調が続くと考えられるが、国内外の需要を押し下げるリスクとなる、賃上げのペースを上回るようなさらなる物価高や海外景気の後退といった不確実性について、暫く注視していく必要があるだろう。
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