2022年10月13日
サマリー
◆2022年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「近畿」「北海道」を筆頭に全地域で改善した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、今夏に新型コロナウイルス新規感染者数が急増したものの行動制限がなかったことで、消費は「中国」「北海道」などで改善した。乗用車販売でも供給制約の影響が弱まって持ち直しの動きが見られる。一方、家電販売の動きが弱く、「近畿」では消費が悪化した。また、資材価格の上昇などで住宅価格が上昇しており、持家・分譲などで動きが鈍いことから、住宅投資は「東北」「東海」で悪化している。そうした中、雇用・所得環境が大幅に改善している地域が多く、特に「東海」「九州・沖縄」「北海道」「近畿」「関東甲信越」などは、雇用・所得環境の改善が大和地域AIインデックスを大きく押し上げている。先行きの需要回復期待や人手不足・物価高への対応で、ベアなど賃上げを実施する企業が増えているようだ。企業関連では、設備投資の動向は前回から特に変化はなかったものの、上海のロックダウンによる供給制約の影響が緩和されたことで、自動車など輸送機械を中心として生産が「近畿」「関東甲信越」「四国」「九州・沖縄」など、輸出が「近畿」「関東甲信越」で改善した。企業マインドは、製造業について地域で評価が分かれており、各地域の短観を見ると、「中国」「近畿」では輸送機械などで企業マインドが改善する一方、「関東甲信越」「東北」では素材などにおいて悪化している。なお、公共投資の動向は、下げ止まった「四国」を除いて変化はなかった。
◆国内での新規感染者数の急増や供給制約といった懸念材料が剝落してきたこと、足元で雇用・所得環境の改善が見られることから、全国的に景気は改善傾向にある。今後は、家計関連において物価高の影響はあるものの、サービス消費や自動車販売などを中心に消費は緩やかに改善していくと思われる。また、企業関連でもデジタル化・環境対応・省力化に向けた設備投資の改善が期待される。一方、ウクライナ情勢や物価・金利上昇により海外景気が後退して、輸出や生産に悪影響を与える可能性がある。地域経済は引き続き、緩やかな回復基調にはあるが、海外の景気後退リスクを注視していく必要があるだろう。
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