「東北」を筆頭に改善、「東海」等は悪化~感染再拡大や長引く供給制約などが焦点

2022年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス

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  • 経済調査部 主任研究員 溝端 幹雄
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆2022年7月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東北」を筆頭に6地域で改善したが、「東海」「近畿」「中国」では悪化した。

◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、新型コロナウイルスの感染者数が減少して人々の外出が増えたことが影響し、消費は「四国」「近畿」「東北」をはじめ全地域で改善した。乗用車販売は供給制約の影響により弱い動きを示す地域が多く見られるものの、GW以降、自治体の需要喚起策や大型イベント・修学旅行の再開などもあり、飲食・宿泊、百貨店などのサービス消費は全地域で改善している。住宅投資は、「北海道」で貸家の新設住宅着工戸数がやや悪化しているが、全体的に前回と変わりはなかった。雇用・所得環境はサービス業のウェイトが大きい「関東甲信越」「近畿」にて労働需給がやや改善している。企業関連では、近隣国のロックダウン等の影響を受けて、輸出は自動車関連を中心に「東海」「近畿」「中国」などで悪化した。生産も、「北海道」の紙・パルプ、「東北」の輸送機械では改善したものの、自動車関連で「近畿」「中国」、汎用・生産用機械や電気機械で「四国」など西日本を中心に悪化している。一方、設備投資は「北海道」「北陸」など4地域で改善しており、企業マインドも「東海」を除けば、近隣国のロックダウンの段階的解除もあり、「九州・沖縄」を筆頭に8地域で改善した。企業の先行きへの見方は比較的良好なようだ。なお、地域経済を下支えしてきた公共投資は、前回から変化はなかった。

◆GW以降、感染症に対する人々の不安が一層和らぎ、さらにインバウンド需要の再開や夏休みシーズンの需要回復を見込む声も聞かれる。しかし、ここに来て国内では感染者数が急増していることや、長引く供給制約の影響・円安による物価高、海外景気の後退懸念もあることから、これら経済環境の不確実性には注意が必要だ。

◆今後は、企業関連ではコロナ禍で手控えていた発現分を含めて、設備投資は改善することが予想される。一方、家計関連では、感染再拡大の勢いが増せば、サービス消費の腰折れの可能性が高まるだろう。また、供給制約や国内外の物価高の影響が長引くと、一層の生産・輸出の下押しや消費の抑制も懸念される。地域経済は、緩やかな回復基調にはあると考えるが、特に感染再拡大が消費を抑えるリスクを注視していく必要があるだろう。

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