2021年10月13日
サマリー
◆2021年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、全地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費がスーパー販売額の堅調な「近畿」など一部地域でわずかに改善しているものの、「東北」「中国」など多くの地域で悪化している。今夏の緊急事態宣言等の対象地域の拡大や期間の延長、天候不順に加えて、コロナ禍において好調だった家電販売が一巡した影響で売上が鈍化しつつある。さらに半導体不足や東南アジアのロックダウンによる部品調達難の影響を受けて新車販売も減少している。一方、住宅投資は在宅時間の増加などで分譲戸建の購入に動く人が増えており、「東北」「東海」「近畿」「中国」のように持ち直す地域が増えている。企業関連では、多くの地域で生産・輸出などが悪化した。足元では半導体などの部品調達の供給制約を受けて自動車関連で影響が出ており、生産が「東北」「関東甲信越」「東海」など、輸出が「関東甲信越」「東海」「九州・沖縄」など、企業マインドは「東北」「中国」などで悪化した。そうした中、「四国」は汎用・生産用機械などの生産、「北海道」は巣ごもり需要等による食料品の生産、そして「中国」はコロナ禍後や省力化・環境対策を見据えた設備投資で明るさも見られる。一方、コロナ禍において地域経済を下支えしてきた公共投資は、「東北」で東日本大震災からの復興関連予算の減少で弱めに転じる動きも出ている。
◆今冬に向けた新型コロナウイルスの感染拡大懸念が残るものの、足元での全国的な新規感染者数の急減を受けた緊急事態宣言等の解除やワクチン接種の広がりなどもあり、人々の感染症に対する不安は一層和らいでいる。こうした先行きの明るさを受けて、地域のサービス消費などを中心に家計関連は次第に改善していくものと思われる。さらに、世界経済も基本的に回復基調にあることから、企業関連でも省力化・環境配慮だけでなく需要増をも取り込む形で、設備投資のすそ野が広がりそうだ。
◆一方、半導体の供給制約は一時的なものとみられるが、ややその影響が長引いており、さらに国内では新政権による政策もまだ見通せないことから、暫く不確実性が残りそうだ。今後は企業関連でやや弱さが残るものの、当面の不透明感が解消されていけば、地域経済は緩やかな正常化の軌道へ着実に戻るだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日