2021年07月09日
サマリー
◆2021年7月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「北陸」「東北」など5地域で改善する一方、半導体不足等の影響により「中国」「九州・沖縄」など3地域で悪化し、地域でばらつきが見られる。
◆分野別に見ると、企業関連では、デジタル化・5G(第5世代移動通信システム)対応による半導体需要の高まりや環境対応、世界経済の回復、アフターコロナを見据えた動きを受けて、設備投資が「東北」「北陸」など、生産が「四国」など、輸出が「東海」「北海道」などで改善している。一方、半導体不足の影響で自動車関連が振るわない「中国」では生産と輸出が悪化しており、「九州・沖縄」などは企業マインドも悪化している。家計関連のインデックスは、消費が「中国」「四国」「九州・沖縄」などで悪化する一方、「北陸」「東北」では改善した。今年4月下旬から6月にかけて10都道府県に3回目の緊急事態宣言が発出され、当該地域を中心に主にサービス消費が悪化した。一方、同宣言の対象外である「北陸」では乗用車販売が持ち直すなど明るい動きが見られる。住宅投資は、木材価格の高騰を懸念する声も聞かれるが、在宅時間の増加やサービス消費から需要がシフトしている影響により、「九州・沖縄」などで持家・分譲の需要が持ち直しつつある。一方、公共投資は引き続き国土強靱化計画などの需要が地域景気を下支えする要因となる見込みだが、「北陸」では北陸新幹線関連の受注がピークアウトしているとの声も聞かれる。
◆これまで普及に時間が掛かるとみられていたワクチン接種が職域接種などを通じて進捗しており、人々の感染症に対する不安が以前より和らぎつつある。ただし、足元ではワクチンの供給不足が顕著であり、一部地域では半導体の供給制約が景気にマイナスの影響を与えているため、暫くはこうした制約が景気回復の足枷となるだろう。
◆足元の半導体の影響を除けば、地域経済をけん引してきた企業関連は世界経済の回復等を受けて今後も改善傾向が続くだろう。一方の家計関連もワクチンの供給制約や新型コロナウイルス変異株への懸念は残るが、ワクチン接種の進展が長らく低迷していたサービス消費を後押しする可能性があり、これまでのコロナ禍とは違う局面に入りつつあるといえそうだ。今後、アフターコロナを見据えた投資や消費などが本格化すれば、地域経済が着実な回復軌道に乗る可能性が一層高まるものと思われる。
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